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KIFEE-8 (Trondheim, Norway, September 20th-23rd 2015)体験記 (Writer:木村勇太)




  2015年9月20日~23日にかけて、ノルウェー科学技術大学(NTNU)で開催された、Kyoto International Forum for Environment and Energy-8(KIFEE-8)に参加させていただきました。この学会は、2004年にノルウェーと日本の間で結ばれた技術協力に関する二国間協定に端を発しています。この二国間協定をベースに、NTNUと、NTNUと深い交流のあった京都の大学が中心となり、特にエネルギー問題や、材料科学に関する研究課題を協力して解決していくためのプラットフォームの構築を目的として、第1回KIFEEを京都で開催したのが始まりだそうです。ノルウェー科学技術大学(NTNU)は、一般にはそんなに名前の知られている大学ではないかもしれません。その歴史をさらっと説明しますと、1910年に、ノルウェー第三の都市であるトロンハイムに、NTNUの前身であるノルウェー工科大学(NTH)が創設されました。そしてその後1996年に、トロンハイム周辺の大学、研究所などが統合され、工学、自然科学だけでなく、芸術や建築などより広い領域をカバーする大学、NTNUとして生まれ変わり、現在に至るそうです。NTHの設立から現在に至るおよそ100年の間に、オンサーガーの相反定理を発見したラルスオンサーガーや、江崎玲於奈らとともにトンネル効果を実験的に検証したアイヴァージェーバー、昨年ノーベル生理学賞を受賞したモーセル夫妻といった、4人のノーベル賞受賞者がNTHおよびNTNUから誕生しており、歴史と実績を兼ね揃えた、ノルウェー屈指の名門と言える大学です。先ほど、「NTNUと深い交流のあった京都の大学」と書きましたが、実は我らがボス、雨澤先生も、京都大学で修士号を取得後、NTNUの前身のNTHに、研究員として1年半滞在した経験があります。そのため、雨澤先生はノルウェーの文化に大変造詣が深く、またNTNUの多くの教授の方々と深い親交があります。
 本学会の特色は、単なる学会発表だけでなく、二国間の共同研究や、学生、研究員の交換留学も積極的に推進している点だと思います。実は私も、修士二年の頃(2012年)、雨澤先生のご紹介で、NTNUのMari-ann先生とTor先生の研究室に、11月末から12月末までの1か月間、実験をしにいかせていただいた経験があります。当時の私は、もちろんノルウェーにいくのは初めてでしたし、短期間とはいえ海外で一人で生活をするのも初めての経験でした。そんな右も左もわからない状態で、クリスマス前の忙しい時期におしかけた私に、NTNUの先生方は大変親切に指導してくれ、おかげで実験も順調に進めることができました。そんな縁もあって、今回も思い出溢れる町、トロンハイムを訪れるのがとても楽しみでした。
 さて、本学会の日程を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、9月20日~23日といえば、シルバーウィークの真っただ中。そんなこともあって、飛行機の席を確保するのがとても大変でした。チケットはいつもよりはるかに高額な上に、成田からの便はもう予約でいっぱい。そのため、まず仙台から名古屋に飛んで、そこからフランクフルトを経由してオスロに入り、そこで一泊して翌日トロンハイム着という、少々複雑な旅程で学会に向かうことになりました。トロンハイムには20日のお昼に着き、昼食後、雨澤先生と散歩がてらトロンハイムの街を歩いて回りました。NTNUや、雨澤先生がトロンハイム滞在中に下宿していたアパート、教会、フリーマーケットなどを見て回りました。


写真は、途中寄ったコンビニ(意外とセブンイレブンがたくさんある!)で絵葉書を選ぶ雨澤先生を写したものです。海外出張に行った際は毎回、先生のご両親と、奥さんのご両親のために現地で絵葉書を買って、手紙を送っているのだそうです。私は、これぞ紳士のたしなみだと思いました。(私はその時、母から来たLINEを既読スルーしていました。)散歩を終えてホテルに戻り、スーツに着替えた後、本日のウェルカムパーティの会場へバスで向かいました。会場には既にノルウェーからの参加者が多くいらっしゃっていて、Tor先生にもお会いすることができました。また、来年3月から雨澤研に数か月滞在する予定の研究員の方にも会うことができました。とても気さくな方で、NTNUの研究員の仲間を紹介してくれて、みんなでテーブルを囲みとても楽しい時間を過ごすことができました。
 その日はパーティのみでお開きとなり、2日目から研究発表が始まりました。私は今回、ノルウェー滞在時に行った研究に関してポスター発表を行うとともに、現在行っている研究に関して口頭発表を行わせていただきました。発表の出来は正直イマイチでしたが、Mari-ann先生などと再びディスカッションをすることができました。
 その後、ノルウェー滞在時にお世話になった、技術職員のJulianさんにお会いすることができました。数年前と変わらない陽気で気さくな姿を見ることができて、とても嬉しく思いました。その日の夜はバンケットで、湖のほとりのレストランで夕食を楽しみました。

レストランから見える湖

KIFEEのバンケットには、ある伝統があります。それは、お互いの国の歌を披露しあうというものです。日本側は、「琵琶湖周航の歌」という、京大のボート部で代々歌い継がれている曲を、毎回披露します。そうするとノルウェー側の参加者の方も、お返しにノルウェーの歌を披露してくれます。写真は、日本側の参加者が琵琶湖周航の歌を披露している姿を写したものです。この日のバンケットは料理もおいしく、大変楽しい時間を過ごすことができました。


琵琶湖周航の歌を歌う参加者の皆さん

バンケットのメイン


 三日目の夜は(いきなり夜の話になります)、昨年、NTNUから雨澤研に留学していたDehliaさんとその旦那さんのDavidさんが、雨澤先生と私を夕食に招待してくれました。ノルウェー定番の家庭料理のミートボールを振る舞ってくれましたが、そのミートボールが本当においしかったです。久しぶりの再会(といいつつ、二人とも8月に仙台に遊びに来てくれていたので1か月ぶり)に話も盛り上がり、とても楽しかったです。Dehliaさん、Davidさん、どうもありがとうございました!その後雨澤先生は、ノルウェー滞在時の恩師の娘さんのコンサートに向かいました。実はその方、先鋭音楽の世界では著名なプロのアーティストで、なんと日本でもライブを行ったことがあるそうです。その方の音楽を一言で表すとしたら、まさに「先鋭的」。ライブの予習の為、Dehliaさんのお宅に雨澤先生がCDを持ってきてくださって、夕食の時にその方の曲を聞かせてもらいましたが、まさに「先鋭的」。これぞ音楽界の先端を行く、先鋭的な音楽だと思いました。(先鋭的、以上の説明は都合により省きます。)


DehliaさんとDavidさんが夕食に招待してくれました


特製のミートボールがとてもおいしかったです


 以上話がまとまらなくなってきてしまいましたが、今回も旧知の方々とも再会できた、とても充実した学会参加となりました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

木村勇太